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アート事務職/アートコーディネーター、古谷晃一郎さんのアシスタント募集です

アートの現場にはアーティストの作品を演出する、プロデューサーやキュレーター、ディレクター、コーディネーター、演出家などと呼ばれる人たちがいます。どうやらその微妙な言葉の違いには、その人の仕事の出発点や、得意分野によって呼び方が変わるようです。

今回ご紹介する古谷晃一郎さんはアートコーディネーターです。古谷さんは方向性を示すディレクター的な立場ではなく、アーティストと並走して作品をつくる手助けをしていくため、アートコーディネーターを名乗っていると言います。

2016年の秋に万博記念公園(大阪府吹田市)で開催される大阪府主催のプロジェクト「おおさかカンヴァス」のプロデュースをするため、古谷さんのアシスタントとして8月から10月までの3ヶ月間、働ける方を募集しています。

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中央/古谷晃一郎さん

募集職種を一言でいえば、アート事務職。

古谷さんのアシスタントは、具体的にはどんなことをするのでしょうか。

例えばアーティストの方との打ち合わせに同行していただき、話した内容をもとにスケジュールを組み、プランニングしていきます。そのためWordやExcelなど事務作業で使うソフトのスキルは必須です。

また、プロジェクトの期間を大まかに助走期間や制作期間、展示直前、展示中、展示後と区切っていくと、その仕事内容が少しずつ変わっていくそうです。少し大雑把ですが、以下の仕事内容が考えられます。

▼制作期間 打ち合わせのヒアリング、資料づくり、連絡、リサーチなど。
▼設置直前 マニュアルの作成。現場スタッフを手配し、シフトづくり。
▼展示中 本部で現場スタッフへの指示など。
▼終了後 報告書やアーカイブをつくるため、写真や映像の整理作業など。

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アーティストが作品をつくるために、何度も現場の図面とにらめっこし、いかにアーティストがのぞむ材料を仕入れられるか計算したり、場所を活用できるように行政と交渉するなど、細かい作業を丁寧に積み重ねていきます。

わりに地味な作業が多いんです。だからアート事務職の募集としてみました。

公共空間に作品展示するための道筋を開拓していく仕事

毎年、大阪府内の違う場所で開催される「おおさかカンヴァス」。この仕事に関わる魅力はどんなところなのでしょうか。

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カンヴァス自体は何かをこういうふうにしないといけないという決まりはないんです。ざっくりいうと、作品が良い形で展示されることが僕らに求められていることなので、ゴールがあって、よりよいゴールにいけばいいのが魅力です。

逆にたいへんなところを聞くと「毎年違うルートを開拓する必要があること」だと古谷さんは語ります。

例えば、おおさかカンヴァス2010の作品「イッテキマスNIPPON シリーズ“花子”」には、こんなエピソードがあります。

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高さが13メートルもある作品です。高速道路が近くを通っている関係上、警察協議が必要ですが、普通なら許可が出ない代物です。実験として作品と同じ高さの風船をあげて、阪神高速道路を走りながらビデオ撮影し、ドライバーの目線を見せて、なんとか許可をもらうことができました。これまで中之島公園では、高さのある作品は絶対に許可がでなかったのですが、まちのルールがひとつ変わり、自由度が少しあがりました。

中之島公園のように、さまざまな毎年大阪府や大阪市がイベントを行っている場所にはノウハウがたまっていきますが、新しい場所であればゼロからはじまるようです。

今度は万博記念公園が舞台なんです。人が通った道筋がなくて藪漕ぎしていく感じですね。道をはじめて通る人になるので、プロジェクトに関わる体力や筋力みたいなものがつくと思います。

ゼロスタートの場所だからこそ今回は、今までご自身が同時並行で行ってきた事務仕事をアシスタントにまかせ、古谷さんはプロジェクトのクオリティをあげる活動に力を注げるようにしたい、というのが募集の背景です。

職業病は、心配すること

おおさかカンヴァスのようないろんな方向から球が飛んでくるような仕事に取り組むと、「心配しい」になるそうです。

例えば雨が降ったらどうしよう。屋根がいるよね。お客さんが来すぎたらどうしよう。スタッフを配置して通路の制限をしようとか、いろいろ考える選択肢が広がります。

事務職といっても9時に出社して17時まで働くようなスタイルの仕事ではなく、自分に与えられたミッションをクリアすることができればよいそうです。

例えばカンヴァス事務局は阿波座駅近くですが、ご自宅が北摂で大事な打ち合わせを伴わない仕事であればわざわざ大阪市内に来ずに、自宅作業をしてもらっても問題ありません。Skypeなど使って打ち合わせもできますし、そのあたりの働き方は自由です。

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アシスタントと聞いて、シャーロックホームズにおけるワトソン博士のように、随時同行して仕事を行うというわけではないようです。それではいっしょに働くことになる、古谷さんはこれまでどういう働き方をしてきたのでしょうか。

大阪芸大の舞台芸術学科を卒業し、舞台照明会社へ入社。アルバイトの時期を経て、森ノ宮にあった大阪府立青少年会館のコーディネーターとなり、演劇、美術、音楽、映像のイベントをコーディネートし、その後、関西・大阪21世紀協会に入り、御堂筋パレードのプロデューサーの仕事を経て、フリーランスのアートコーディネーターとなりました。

アートコーディネーターはアーティストに並走し、アーティストの向いている方向にいっしょに走っていく仕事だと思っています。アーティストが作品をつくりやすい環境を整え、調整するというところに主軸があります。

アートコーディネーターの仕事にやりがいを感じるきっかけがあったと言います。

アーティストの井上信太さんとの出会いは僕にとってすごく大きくて、よくお仕事をごいっしょさせていただいているんですが、いつもいい意味で僕が思っていることよりも、ひとつ上のものを見せてくれるんです。

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2008年に開催された「中之島は大きな帆船」というプロジェクト(関西・大阪21世紀協会)がふたりの最初の邂逅でした。「こんなんなるんやー、へー、すごいなあ。こんな自由でいいんだ!」と感じたそうですが、具体的にどんなところでそう思ったのでしょうか。

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例えば中之島公園の道に作品の水鳥を並べていったりするんですが、それをやることによって、作品の数を増やすほどに自分の首を締めていくことになるのに、そこまでして自分の見たい風景を実現していく力を純粋にすごいなあと思ったんです。

まずは「はじめまして」のあいさつから

おおさかカンヴァスでは審査員が厳選なる審査で決まったアーティストたちをコーディネートしていくため、毎回毎回が「はじめまして」からはじまります。

いきなり知らない人と関係をつくるという意味で緊張しますが、そこが面白いところでもあります。

どちらかと言えばアートコーディネーターの仕事は、初対面の方と仕事することよりも自分で考えて行動することのほうが難しいのではないかと感じるそうです。

会社の仕事と違って上司からこれをやっておけ、という指示はない分、はるかにハードだと思います。特性で言えば一人旅を楽しめるかどうかかな。目的地が決まっていてそのとおりの行動じゃなければ楽しめない人よりも、行く先々で方向性が決められるような人のほうがあっていると思います。

(取材・文/狩野哲也

おおさかカンヴァスは古谷さんだけでなく、様々な経験を積んだコーディネーターやクリエイター、アーティスト、行政職員など、さまざまな方が集結します。3ヶ月と短い期間ですが、スキルだけでなく、大阪のアート界隈のネットワークも築けるのではないでしょうか。

もっと詳しく知りたい方は2016年08月10日に仕事ライブラリー「ハローライフ」で開催されるトークイベント【「おおさかカンヴァス」チーフディレクター古谷晃一郎さんに聞く、自分をいかして生きる仕事術】に参加するか古谷さんに直接問い合わせてみてください。

募集要項はこちらです。

◇募集職種
アート事務職

◇募集期間
2016/8/16(火)〆切

◇人数
若干名

◇雇用形態
アルバイト

◇応募条件
・アートの仕事を生業としている人、生業とすることを考えている人
・アートプロジェクト、まちづくり、イベント制作、演劇公演などの現場経験のある人
※早期に参画できる方優遇

◇勤務地
大阪市・阿波座(開催時は吹田市・万博記念公園)

◇給与・待遇など
経験・スキルなどを考慮し応相談

◇応募方法
以下の2つを郵送またはメール(PDF)にて送付ください。
(書類の返却はいたしません)
1.履歴書(写真添付)、職務経歴書
2.あわせて、以下の項目など、あなたのことを自由にお書きください。
・今までされてきた活動や仕事、現場経験の内容
・将来の夢、こんなことがしたい
書類を拝見し、お会いしたいと思った方に、こちらからご連絡差し上げます。

◇連絡先

お名前 (必須)

メールアドレス (必須)

題名

メッセージ本文

履歴書(ファイルサイズは1MBまで受信可能です)

職務経歴書(ファイルサイズは1MBまで受信可能です)

高坂玲子さん|古谷晃一郎はおばちゃんである。

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高坂玲子さん
大阪府立江之子島文化芸術創造センター/ enoco
企画部門 アートコーディネーター
2006年同志社大学大学院修了。2007年より大阪府立現代美術センターに勤務、大阪・アート・カレイドスコープ2008、水都大阪2009などに携わる。その後、瀬戸内国際芸術祭2010、おおさかカンヴァス推進事業2010/2011において制作マネージメントを担当。2012年より現職。

あなたにとって古谷晃一郎とは何者ですか?

古谷晃一郎はおばちゃんである。女性が多い過去のカンヴァスメンバーの中にも違和感なく混ざる、絶妙な距離感と佇まい。 なお、残念ながらポケットにアメちゃんは入っていない。

吉原和音さん|古谷晃一郎は現場の神様である。

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吉原和音さん
大阪府立江之子島文化芸術創造センター/ enoco
企画部門 アートコーディネーター

あなたにとって古谷晃一郎とは何者ですか?

 作品設営やイベントの現場は、不特定多数が出入りし、時に修羅場と化します。人・物・事が一度に同時多発的に動く・起こるので、その場その場で判断して必要に応じて複数人で事態に当たらなければなりません。

そんな時に古谷さんは、的確に人に指示を出して現場をまとめ、段取りを組み、現場の片付けを行っていきます。腰のポーチからは万能グッズが出てきて的確に処置してくれて、コードというコードはすべて八の字巻き。そんな頼れる現場の神様です。ただし、よくよく観察していると、同じ事を繰り返し言っていたり滝のような汗をかいていたりする時もあり、その時はテンパりふるふる(あだ名)ご光臨なので、そっと距離をおいてそれぞれ自分で考え相談すると現場がくるくると回ります。

古谷さんは経験も豊富で現場監督のような人ですが、任せっきりにするのではなくスタッフそれぞれが考えて作家や事態に対処するのをサポートしてくれるタイプの人です。気づけば修羅場のような現場も終わり、あとはお片づけをして、みんなでお疲れの乾杯をする。そんなチームづくりが上手な人だと私は思っています。みんなで頑張った後のビールは最高ですよ。ふるふる最近は痛風なのでビール禁止ですけどね笑

柳本牧紀さん|古谷晃一郎は佳境に入る少し前ごろに「腹立つわー」を連発することが…たまにある。

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柳本牧紀さん (アートディレクター/アートマネージャー)
大学卒業後、財団法人大阪都市協会に就職。月刊誌『大阪人』の編集記者を6年経験する。第2子出産後に、文化事業部へ異動することになり、大阪市事業の現代芸術祭や新世界アーツパーク等におけるアートマネージメント業務に携わる。財団の解散に伴い、財団法人大阪城ホールにおいて、同職。財団の株式会社化に伴い、財団法人大阪市博物館協会にて大阪歴史博物館勤務となる。2012年8月退社。大阪府の事業『おおさかカンヴァス』でアートディレクターとして採用されたことをきっかけに、その後もフリーランスとして活躍。地域密着型のアートプロジェクトを手掛けている。 タチョナ・プロジェクトブレーカープロジェクト

あなたにとって古谷晃一郎とは何者ですか?

佳境に入る少し前ごろに「腹立つわー」を連発することが…たまにある。

小島剛さん|古谷晃一郎は暑がりである。

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小島剛さん (アートディレクター/アートマネージャー)
1995年頃よりラップトップPCを使い、即興音楽を中心に国内外で演奏活動を行う。イメージや記憶が定着した様々なサンプリングソースの組み合わせから新しい音場を構築する作品を作りだす。ダンスやドローイングとのコラボレーションも多数。
 また、2003年以降、NPO大阪アーツアポリアのサウンドプログラムディレクターとして、様々な実験的なイベントを数多く手がけてきた。現在は活動拠点を変え、楽器演奏をリタイアした人や様々なコミュニティを対象とした大人数のライブワークショップ「ビッグビッグバンド」(2005年、2006年、2007年、2009年)や、音楽家HACOによる環境音の切り取りを音楽として捉え直したサウンドアートプロジェクト「View Masters」(2006年~ )の協働ディレクターなど、主に社会における音楽の役割を再考するようなプロジェクトを企画している。

あなたにとって古谷晃一郎とは何者ですか?

古谷晃一郎は暑がりである。クールに物事を進めるための惜しみない努力は怠りません。